EPISODE 02

リモートワーク基盤構築の記録

Amazonだけで生きてゆく Fire HD 10 2017

AmazonのサイバーマンデーセールでFire HD 10もセールの対象になっていたので、その割引額につられて思わず購入してしまった。購入価格は通常価格18,900円-セール割引3,200円-プライム会員割引4,000円で11,780円。さらにAmazonのクレジットカード決済で354ポイント還元されるという。

ここまでするなら、どうせコンテンツやサービスで囲い込めるんだしタダで配っちゃってもいいのではないかと思わせるような価格設定。ハードに価値を見出す時代ではないのか。

主な購入の目的は、Amazonの仮想デスクトップサービスのWorkSpacesを試してみたかったから。以前にFire HD 8でも使ってみたけど、8インチという画面サイズと1280 x 800 、189ppiという解像度のためあまり実用的とは言えなかったので、ほとんど使うことはなかったけど、今回購入したFIre HD 10はフルHDというWindows 10で使うのには十分な解像度を持っているので、ラップトップと遜色ない使い方ができるのではないかという想定。

ついでにAmazonのPrime VideoやKindle本も使ってみたい。Google Playを入れてAndroidタブレットとして利用する使い方は無しという方針で。

ということで、注文した翌日には手元に届いていてそろそろ一週間たったので使い勝手を感想をメモしておく。

外観

見た目はと触った感じは相変わらずのチープ感。最近の狭額縁ブームとは真逆の極太ベゼル。金属やガラスで美しくデザインされたiOS端末やAndroidスマートフォンとはちがい樹脂とプラスチック感丸出しのボディ。

この辺の割り切り方はさすがといったところか。

一緒に買ったもの

ついでに純正のケースとmicro USBケーブルも購入してみた。ケースが5,000円近いので、本体と比べると高いような気もしたけど、汚れにや傷に強そうなファブリック素材なのと、思ったより質感が高いこともあって、本体の安っぽさがなくなる。

micro USBケーブルはもちろん同梱されているし、すでに何本も持っているけど、どれも1m以内の長さなのでデスクで充電しながら使うのは少し長さが足りない。そのため今回はAnkerの1.8mのケーブルを追加で。2018年になろうともしているのに、今更micro USBケーブルを購入するとは思わなかったけど仕方ない。

micro SDカードは手元にあった64GBのカードを入れた。

3年以上前に買ったものなので認識しない可能性もあったけど、ちゃんとフォーマットもできてエラーも出ていないのでこのまま使うことにした。本体32GBと合わせて96GBが確保できるのでしばらく不足することはなさそう。

液晶保護シートは汚れや傷から保護するという観点では不要そうなので購入しなかったけど、液晶の反射が思ったよりあるので、反射を軽減するシートを別途追加購入する予定。

USB On The Go

すでにOTGの機能は存在すら忘れかけていて、久しぶりにケーブルを引っ張り出してきて使ってみたけど、こっちも問題なし。

サムスンのポータブルSSD T3を接続してみたところ、普通に外部ストレージとして認識されていた。速度的なメリットはないので、一応使えるかどうかの確認。おそらくキーボードやマウスも利用可能なはず。

Bluetoothキーボードとマウスのペアリング

とりあえずMicrosoftのUniversal Foldable KeyboardとLogicoolのマウスM580をペアリングする。 iOSと違ってマウスがペアリングできるのはFireOS、Androidの大きなメリット。ペアリングした瞬間当たり前のようにポインタが表示され、遅延もなく使えた。

キーボードはペアリング自体は特に問題ないけど、英語キーボードとして認識され、JISキーボードとしての設定はできない様子。仮想環境上ではWindowsでJISキーボードとして設定し利用できるので特に問題はなさそう。

KKHBもちゃんとペアリングできた。

キーボードの価格(3万円)とタブレットの価格が釣り合っていない気がするけど、Universal Foldable Keyboardと比べてテキスト入力は捗る。

液晶、ディスプレイ

Fire HD 8と比べると解像度、タッチパネルの反応速度ともにその差は歴然。ただiPad Proと比べると映り込みが大きかったり、タッチパネルの反応がイマイチだったりする。そこは単なる個性と捉えてしまえば違和感はすぐに払しょくできるはず。

明るさが若干足りないような気がするので、常時最大輝度で使っているのと、作業内容によってはサイズが足りないこともあるので、そんな時はiPhone 7やFire HD 8をサブディスプレイのように使うことで、補完している。Fire HD 8に資料を表示しながらFire HD 10で入力するといった感じで。

WorkSpacesアプリのインストールと仮想環境への接続

WorkSpaces Fire HDともにAmazonのサービスなので、Google Playのインストールなど面倒な作業は行わなくても、プリインストールされているアプリストアからWorkSpacesのアプリはインストールできる。あとはアプリからIDとパスワードを入れれば、いつものWindowsデスクトップ環境が標示されるので、通常通り作業するだけ。

想定した通りタブレットの解像度が高くなると作業領域も増えるしフォントもきれいに表示されるので、ほとんどラップトップと変わらずに作業ができそう。224ppiの画素密度はiPad Proには及ばないけど、MacBook Pro以上ではある。またiPadにはできないマウスを使ったWindows操作ができるのも大きなメリット。

使っているときの感覚は旧世代のWindowsタブレットや、Surface3に近い。AmazonがWorkSpaces向けにKindleをチューニングしているようなことはないだろうけど、iPad Proでの使い勝手があまりにもアレなので、ギャップを感じてしまう。

一番気になっていたレイテンシについてもほとんど気にならない。文章入力時にごく稀に入力した文字が一瞬遅れて表示されるような挙動が見受けられるけど、Bluetoothの遅延なのかインターネットの遅延なのかはよくわからない。総じてラップトップと変わらない操作感は得られているのではないだろうか。

アプリ

追加したのはWorkSpacesのアプリとOneDriveのアプリだけ。サードパーティのアプリをガンガン入れて使う予定はなく、プリインストールされているアプリと仮想環境上のWindowsデスクトップを中心に使っていく予定。

気になるところ

特に大きな不満はないけど。使っていて若干気になるところをいくつか。

HDMI出力ができない

残念ながら画面の外部出力は公式に非サポートとなっているので、会議やプレゼンなどで外部モニタやプロジェクタに接続するような用途には向いていない。単なるコストカットなのか、外部出力するようなユーザはあまりいないのかわからないけど、ここが改善されれば、もう少し使い勝手は上がるので、次機種ではぜひ搭載してほしい機能のひとつ。

Wi-Fi接続が若干面倒

2.4GHzのAPには問題なくつながるけど、5GHzのAPを使う際は接続できるチャンネルが限定されているので、あらかじめAP側で設定を行っておく必要がある。利用できるチャンネルが36,40,44,48となっているため、自宅以外で自分で設定変更ができないAPでは5Gzは運が良ければ繋がるといった程度で認識しておいた方がいい。

AWSやAmzonのコンシュマー向けサービス全般に言えることだけど、ネットワークの速度が遅いと極端に使い勝手が悪くなるので、常時10Mbps以上の通信速度は確保しておきたい。

LTEモデルがない

Fire HDの想定ユースケースからはLTEモデルをラインナップに加えるということはなさそうだけどLTEモデルがあればなお使い勝手はよくなるはず。iPad ProのLTEモデルを使っていればわかるけど、出先でモバイルルータやテザリングを使うのはイマイチ機動性に欠ける気がしているので、その点Fire HDの惜しむべきところ。

作業するデスクがないと使いにくい

当然だけどラップトップやiPad ProのSmartKeyboardのように膝の上に置いてキーボードを使うようなことはできない。ソフトウェアキーボードを使えば実現できそうだけど、画面のサイズからも少し厳しいのではないか。やはり簡易的でもデスクがある場所でないと、使い勝手はよくないと感じる。本体+ケースの重量で700gを超えるので、手に持って作業をしたり、コンテンツを観たりするのには向いてない印象。

セキュリティ

一応ディスクの暗号化とパスワード、パスコードで基本的なセキュリティは保たれているようだけど、MDMなどのセキュリティツールを導入するのは障壁がありそう。そもそもFire OSに対応したMDMがあまり多くなさそうなのと、LTEモデルがないので常にネットワーク接続されているわけではないため、リモートでのワイプやロックなどは難しそう。

端末のリモート操作をするのに現実的なのはAWSのAmazon Work Mailを使っていれば、Fire HDにアカウントを設定することでAWSのコンソール上でポリシーを設定して、リモートワイプはできそうな感じ。とはいえ、重要データは仮想環境上にあるのでローカルにデータを保存しなければ、万が一紛失や盗難に遭ったとしても仮想環境のパスワードを変更してしまえば良いという考え方もできると思う。

生体認証系を使った端末へのロック解除はできないので、パスワードを入れてログインする必要がある。タブレットなので頻繁にロック、ロック解除をするようなことはないのであまり気になる点ではないけど、ロック解除の方法がひとつしかないというのは、不安点。

バッテリー、充電

バッテリーの持続時間はかなりヘビーに使っても丸一日は持ちそう。Amazonが利用時間の仕様を10時間としているけど、ほとんどカタログ値と変わらない印象。 ただし充電時間は今時のスマートフォンやタブレットと比べると長め。本体に付属している9WのUSB充電器で充電したところ、5%から50%までが約1時間半、50%から100%になるまで4時間ほど。AnkerやRAVPOWERのUSB充電器でも9Wの出力だったのでほぼ同じ時間がかかる。寝ているときに充電しておく運用がよいのかもしれない。

まとめ

セール中とはいえキーボードとマウス、ケースやタブレット本体を入れて2万円台でここまで快適な環境で作業できるのは素晴らしいことだと思う。仮想環境に自分のデスクトップがあるので、端末が壊れたとしてもWebから数クリックすれば翌日には端末が手元に届き、まったく同じ環境で作業が継続できるというのは、コストの面でも気持ちの面でも軽い気持ちで運用できる。技術的にも、部材的にも枯れたものを使っているはずなので、頻繁に壊れたりするようなことはないだろうけど。

iOS端末やAndroidスマートフォンのように今ある技術や高価な部材をふんだんに取り入れて、ローカルのパワーでアプリをぶん回すような使い方もいいけど、Fire HDのように枯れまくった技術と一世代も二世代も前の部材を使って足りない部分はAWSなどのクラウドサービスを活用しまくるという使い方の方が今時っぽい印象もある。仕事もプライベートもAmazonにロックインされることに抵抗がなければ、思い切って身を委ねてしまえばアップルに身を委ねる以上に生活は満たされるのかもしれない。